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大島渚

kage

2013/01/22 (Tue)

 映画監督、大島渚が亡くなった。

 次々と著名人は亡くなるし、ワイドショーは取り上げる。まあ、亡くなること含めて、それは普通のことなので、よろしいのですが、全く興味のない業界、興味を持っていなかった方を長々と時間を割いて、ああだこうだお悔やみの放送をされても、『チャンネル変えてしまいますよ、亡くなった事実だけ伝えられればいいのだから』というのが本来の筆者(fanta)のスタンスなのだけど、大島渚は違ったね。葬儀の中継に見入ってしまった。fantaは大島渚に思い入れがあるからだ。

 ゲイ雑誌『薔薇族』のゲイ映画特集を書いた時に、日本の「『ゲイ映画』の監督」として、まあ、特別枠みたいな感じで大島渚を取り上げた。

 大島氏は、ストレートだと思いますよ。ただ遺作の『御法度』は、まあ話はモロ、「男たちによる美少年の取り合い」だし、日本のお小姓文化みたいなのを描いた。

 オトコのオトコに対する情念だものね。性愛的なところまで多少触れてたと思う。
 これを『ゲイ映画』とせずになんとしよう。

 まあ、映画としては佳作どまり、大島氏自身も当時「いまいちでした。私の責任です」と言ってたな。

 『戦場のメリークリスマス』もそう。
 出演者の北野武が当時、「これは大オカマ大会だね」と言っていたが、まあ、そのとおり。

 ホモセクシャル行為をしたかしないかが話の節々に出てくるし、たけし扮するハラ軍曹とロレンスの関係は、”友情”と捉えてよろしいが、坂本龍一演じるヨノイ大尉と、デヴィッド・ボウイ演じるジャック・セリアズとの関係は、『惚れてしまった・・。それを優しく受け止めた』としか解釈しようがないわな。

 『戦場のメリークリスマス』は、カンヌ無冠で、傑作という表現は馴染まないが、心に浸み入る、限りなく傑作に近い愛おしい作品だと思います。

 デヴィッド・ボウイがスクッと立って、坂本龍一の音楽、ヨノイ大尉を抱きしめ、両頬にキス・・・。泣けるよ。

 とにかくね、情念の映画作家なんですよ、大島渚は。『愛のコリーダ』『愛の亡霊』も言うまでもない。その情念を力強く描き、さらにエンタティメントに仕上げる映画監督はそうそういません。

 以前、某掲示板に、「大島が死んだら邦画は終わりだよ」とfantaは言いましたけど、ほぼそんな感じだと思いますよ。他に誰が居ますか? 80才以下で、こういう戦闘的な映画作家は?(80才以上だと山田洋次が居る、こちらは松竹伝統文化ですが・・)。

写真は、『御法度』と『戦場のメリークリスマス』の海外版。